【コロナ禍】そして私は何者でもなくなった

 

 

2019年10月、私は有難いことに推薦入試で大学への進学が決まった。

 

私はとにかく地元から早く出たくて仕方がなかった。

そんな私は、行きたい大学を絞る際に上京することを早々と決めた。

これは先に上京しその先で就職した姉の影響が大きいだろう。

姉は大学進学で所謂大学生デビュー、華のキャンパスライフというものを経験している。そんな姉を見ていた私は、姉が垢抜けて綺麗になり、素敵な友人たちに恵まれている姿を見て憧れないわけがなかった。

 

私も絶対に楽しいキャンパスライフを送る。そう思っていた。

 

2020年1月、中国で新型コロナウイルスによる感染症が発生しているというニュースがあった。

 

正直この頃は世界中に蔓延するなど考えてもみなかった。バイト先の心配性の女の子が「怖いからマスク買い占めた!!」と報告してきたときは、大袈裟だななんて少し馬鹿にしていた。

 

2020年2月、卒業前の自宅学習期間でのんびりとした時間を過ごしていたが、テレビニュースでは毎日毎日コロナウイルスの話題ばかり。日本でも感染者が出始め、マスクを着けて外に出ることが当たり前になっていた。しかし、インフルエンザと同じようなもので冬が終わって暖かくなればすぐ収まるだろうと思っていた。

 

2020年3月1日、コロナウイルス対策のため、卒業生とその保護者のみでの卒業式で高校を卒業した。

 

 

 

2020年3月下旬、地元を離れたい願望が強かった私は4月上旬に予定されていたガイダンス等のことも考え上京することに決めた。

この上京を踏み切った理由には、単身赴任中の父、先に上京している姉と3人暮らし(母は地元に残り一人暮らしをしている)になるため精神的負担も少ないことも含まれていた。

 

2020年4月、大学の入学式はなくなり、なにもないまま大学生になった。

母に買ってもらったスーツは未だに一度も袖を通していない。

 

その後、ガイダンスや健康診断は中止になり、オンラインでのガイダンスが決定した。さらにそこに加え、前期は原則オンライン授業で進めること、つまり、大学には通わないことが決まった。

 

5月、オンライン授業が始まった。

楽だと思った。授業ギリギリまで寝ていられるし、ほとんどがオンデマンド形式の授業だったから、楽だと思った。

 

同時期にとても親しい友人が関東で一人暮らしを始めた。この他にもツイッターやインスタグラムで知り合った同じ大学の人も一人暮らしを始めている人が多くいた。

友人が一人暮らしを始めセンチメンタルになっている様子がツイートで伺えた。この時私は、「一人暮らしじゃなくてよかった」と思ってしまった。

これは、一人暮らしをしている友人を横目に、父と姉と暮らしている自分を棚に上げて優越感に浸っていたことになる。堂々とこのような発言や行動をしたわけではないが、心のどこかでそう思い、無意識のうちにそのような言動をとっていたかもしれない。

 

5月下旬、アルバイトを始めた。

コロナウイルスは怖かったが、貯金を切り崩しての生活が少し厳しくなってきたためアルバイトを始め、オンライン授業とアルバイトの繰り返しの日々が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学一年生、前期授業はすべてオンライン。頼りにできる大学の先輩もいない。

慌ただしく、とても気を張って、余裕のない日々を過ごした。

だから、気付かなかったのかもしれない。どのタイミングでどのようなアクションを起こさなければならなかったのか、今でもわからない。

 

夏休み最終日、健康診断の日に初めて大学に足を踏み入れた。

 

周りは同じ大学一年生のはずなのに、最寄り駅に着いた時点で多くの人が誰かと一緒に歩き、楽しそうに話をしていた。みんな友達といた。

 

私はひとりだった。

 

すごく切なかった。

 

ツイッターで積極的に声をかけて仲良くなればよかったのだろうか。

仲良くなってご飯に誘えばよかったのだろうか。

みんないつどこで仲良くなったのだろうか。

 

 

 

夏休みが終わり、関東で一人暮らしをしていた友人がアルバイトを始めたようだった。同じ大学の先輩も、同級生もいて楽しいアルバイト先のようだった。

その様子は嫌でもツイッターやインスタグラムの投稿で目に入ってきた。

毎日のようにご飯に連れて行ってもらう姿、アルバイト先の人とBBQをする姿、羽目を外している姿。大学生らしいなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後期が始まって2か月が経つ。

後期授業も原則オンライン授業である。つまり一年間オンライン授業になった。

地元の大学に進んだ友人は対面授業をめんどくさいと言いながら楽しそうに受けている。

アルバイトは2つ掛け持ちしている。どちらもほどよく頑張っている。

姉とよく話をし、たまに一緒に出掛ける。

ほぼ毎日三食食べて、割と健康的な生活をしている。

たまに母とテレビ電話をしてる。

好きなアイドルグループの動画を見て姉と一緒に騒いだりしてる。

ただ普通に生活している。

 

 

 

 

でも私には遊びに誘える友達が一人もいない。

 

 

 

 

地元に帰りたいと思う。前みたいに母と一緒に暮らしたいと思う。

でも私は地元に帰って何をするのだろうか。

授業はすべてオンライン授業。

毎日通っていた高校にはもういけない。高校の友達はもう前のように遊べない。

前のアルバイト先にはもう知っている人がほとんどいない。

 

 

 

私の居場所はどこだろうか。

 

 

 

地元に戻ってもこの気持ちはきっと晴れないのだと思う。

どこにいてもなにをしても、居場所がなく、自分が何者なのかわからなくなる。

 

私は何をしているのだろうか。

 

毎日ちゃんと生きているのに、生きている気がしない。

 

 

 

コロナウイルスが憎くてしょうがないという話ではない。

 

 

 

私が今、どこに所属していて、何者なのか、誰か教えてほしい。

 

 

 

なぜ私は1人じゃないのに独りなのだろうか。

 

 

 

なぜ周りの友達は同世代の子と楽しく笑いあえているのだろうか。

 

 

 

大学一年生という肩書がこんなにも似合わないのはなぜだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

私は何者なのだろうか。